スイゼンジノリは、オランダの植物学者Suringerによって熊本市の水前寺江津湖公園において発見され、「神聖」という意味を持つAphanothece sacrumという学術名がつけられ、江戸幕府への献上品として重用されていました。現在、スイゼンジノリの発見場所の一部は、「スイゼンジノリ発生地」として、国の天然記念物に指定されています。スイゼンジノリは、熊本県や福岡県といった九州の一部の清らかな水環境においてのみ生育可能な藍藻です。したがって、昨今の水環境悪化により絶滅危惧種I類に指定されました。一方、サクランは、スイゼンジノリから抽出された新規多糖体で、2006年北陸先端科学技術大学院大学金子研究室の岡島麻衣子博士によって発見されました。サクランは、平均分子量 1,000万以上、分子鎖長 10 μm 以上の超巨大多糖体で、純水に対してヒアルロン酸の 5 倍の保水力を有し生体適合性も高く、抗アレルギー性などの効能も認められたために、注目度が高まってきました。2012年、このような背景の中、サクランの学術の発展に寄与するとともに広く社会に貢献することを目的とし初代会長である有馬英俊先生(第一薬科大学教授)のご尽力の下で「サクラン研究会」が発足されました。その後、第二代会長である椛田聖孝先生(東海大学名誉教授)の下でサクラン研究会とスイゼンジノリ保護の緊密化がなされ、ついに2019年本研究会はスイゼンジノリ・サクラン研究会として拡張され、新たな一歩を踏み出しました。今後、本国の遺伝資源の保護とサクランなどのスイゼンジノリ代謝物を活用した人類と地球環境への貢献を行うべく、本研究会を振興させてまいりたく存じます。益々のご支援を宜しくお願い致します。

スイゼンジノリ・サクラン研究会 会長
金子達雄